見出し画像

D2Cブランドにおける「USの今」と「日本のこれから」

こんにちは。Shopifyエバンジェリストの河野です。
RETAILDIVE の記事にあった「次のユニコーン」というテーマがD2Cの現状を端的にわかりやすくまとめられていたのでご紹介します。
この記事の中には下記のようにあります。

"I think there was an arbitrage opportunity five years ago, where you could take a stale category, get an agency to build out a really good brand, really good packaging, slap some millennial pink on top of it and acquire customers cheaply on Instagram. I think that's getting much harder."David Goldberg
General Partner, Corigin Ventures
意訳
「5年前には裁定取引(アービトラージ)の機会があったと思います。古いカテゴリーをピックアップし、代理店の力で本当に良いブランド、本当に良いパッケージを作り、その上にミレニアルピンク(ミレニアム世代が好むとされる色)を塗りたくり、Instagramで顧客を安く獲得することができました。でもそれは今ではずっと難しくなっていると思います。」
デビッド・ゴールドバーグ
Corigin Venturesのジェネラルパートナー

確かにこの5年間で大きく状況は変わってきたなと思います。記事中にもありますが、USのD2Cブランドの成功例として良く名前が挙がる「Allbirds」は最近商品カテゴリに靴下を追加しましたし、「Away」はアパレル、健康、ライフスタイルのカテゴリのプランを発表。「Casper」は現在、犬用ベッドとスマートナイトライトなどを販売しています。彼らのビジネスは単一の商材から、もっと広い範囲へ広がっています。
一方で、彼らの後追いで同じジャンルでうまくいっているブランドはほとんどないように感じます。その要員として、彼らがブランドとして優れたマーケティングコミュニケーションを展開しているのはもちろんですが、一方で当初はコストが非常に低かったFacebookとInstagramの広告によって急成長を遂げたやり方が、現在は大幅に広告主が増加しインプレッション単価が高騰した影響を受け、最近のブランドは同じやり方が通用しなくなったこと、そして、顧客の感覚も日々磨かれているので、より洗練されたかつ驚き、
感動のあるブランドコミュニケーションが実現されない限り、魅力的には映らなくなったのだろうと感じています。

もちろん彼らD2Cブランドの先駆者たちも、ここ2-3年はTwitterやPinterestなどの別の広告プラットフォーム、そして実店舗などの新しいチャネルに戦略的に投資しはじめています。さらにいえばD2Cというモデルからそもそも外れてしまうかもしれない「卸」にすらチャレンジをしています。卸先としては消費財系はTarget、ファッション系はNordstromが多いイメージです。
消費財系D2Cブランドは最早卸売ビジネスの方が既存のオンライン販売より大きくなっているところも多いようですが、ブランディングを重視する彼らは、店頭で埋もれてしまわないようにブランド専用の棚を作るよう、卸先に対してかなり強めに交渉しています。このあたりもブランドとしてどうあるべきかの戦略が明確に策定されているからこそできる道筋だと感じます。

オンラインからオフラインへ、広告から店舗にチャネル移行・・・このような流れがドラスティックに発生しているというよりも、ある意味今までうまくいきすぎていた(美味しすぎた)ものが、正常な形に戻りつつあるのかなと思います。これらは歴史上繰り返されてきたことで、商売の原点に結局立ち戻ることなのかなとも感じます。
どんなにテクノロジーが進んでも「人間相手」の「商売」であることの本質は変わらず、結局は本質的なことの積み重ねでしかない、というのは先行しているUSを見ていて強く案じます。

日本では、まだまだD2Cモデルは黎明期であり、様々な可能性を秘めていると思います。一方でFacebookとInstagramの広告の獲得単価は既に高くなっていることは変わらないので、より早い段階でオンライン・オフラインの統合が進むと思います。
D2Cだからこそ、ブランドとしての提供価値の明確化は重要になります。ECだけではそれらすべてを表現することでは不可能ですし、予算も限られる中で何ができるのか・・・と考えると、地道なポップアップストアの展開活動やパッケージ、販促物の改善というものも細かいですが重要になってきます。また、たとえSNSの広告が力を失ってきたとしても「共感」を生み出せるかどうかは現代のブランドとして必要不可欠な要素だと思っています。

D2Cは、手段であり、目的ではありません。色々とやることはたくさんあるし、結局は泥に塗れながらも真剣に積み上げていくしかありません。日本のD2Cモデルの成功も、早い段階からそういった積み上げをちゃんとやれるブランドが伸びていくと思います。そして日本のオムニチャネルの積み上げとD2Cブランドのコラボレーションがどう進むのか・・・はまだ未知数ではありますが、楽しみです。


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

ありがとうございます!
33

FRACTA | ブランディングエージェンシー

すべての買い物をたのしく、そしてブランディングで世界を豊かに。テクノロジーとデザインで日本のD2C(DTC、DtoC)ブランドを支援します。 https://fracta.co.jp/

Future of Digital Native Brand

海外のD2Cやスタートアップブランド、業界の最新情報を中心にFRACTAの考えるブランディングについてのコメントを交えてお届けします。
2つ のマガジンに含まれています
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。